海の城 空の扉
4
ラドリーンは、優しい竪琴の音色に包まれて目覚めた。
どこからか、微かな潮の匂いがする。
目をしばたき、手をついて上半身を起こした。
いつ髪をほどいたのだろう? 長い黒髪が肩から膝にかけて滝のように流れ落ちた。
ラドリーンは、どっしりとした藍色の帳(とばり)をそっと払った。
窓際の椅子に座り、アスタリスが竪琴を奏でていた。
足元の床にはリナムがだらんと寝そべって、しっぽでリズムをとっている。
「バード」
ラドリーンが小さく呼ぶと、彼は振り向いた。
「目覚めたか」
ラドリーンは小さく頷いた。
アスタリスは竪琴を片手に立ち上がった。ほどなく寝台の帳が払われ、真夏の空のような青い瞳がラドリーンを見下ろした。
ラドリーンは、呆けたようにアスタリスの目を見つめ返した。
何だろう?
視線に絡め取られたように目を反らす事ができない。
――えーと、ね
リナムが甲高い声で、アスタリスの背後から言った。
――オイラ、ちょっとマスタフのとこに行ってくる。ソーセージくれるって言ってたし
どこからか、微かな潮の匂いがする。
目をしばたき、手をついて上半身を起こした。
いつ髪をほどいたのだろう? 長い黒髪が肩から膝にかけて滝のように流れ落ちた。
ラドリーンは、どっしりとした藍色の帳(とばり)をそっと払った。
窓際の椅子に座り、アスタリスが竪琴を奏でていた。
足元の床にはリナムがだらんと寝そべって、しっぽでリズムをとっている。
「バード」
ラドリーンが小さく呼ぶと、彼は振り向いた。
「目覚めたか」
ラドリーンは小さく頷いた。
アスタリスは竪琴を片手に立ち上がった。ほどなく寝台の帳が払われ、真夏の空のような青い瞳がラドリーンを見下ろした。
ラドリーンは、呆けたようにアスタリスの目を見つめ返した。
何だろう?
視線に絡め取られたように目を反らす事ができない。
――えーと、ね
リナムが甲高い声で、アスタリスの背後から言った。
――オイラ、ちょっとマスタフのとこに行ってくる。ソーセージくれるって言ってたし