海の城 空の扉
どこまでもどこまでも、茶色い土がむき出しの荒れ地が続いていた。

森の緑色が少し。

それさえも、立ち枯れた木々が多く混じっていた。皮肉にも、潮風に晒された海の城の方が、よほど草木が育っている。

やっと草木が芽吹いても、森の動物達が食べ尽くしてしまうのだ。そうして、さらに食べ物がなくなっていく。

この荒れ果てた土地を蘇らせる事ができるのは、まさしく魔法の技くらいだろう。

……無理だ

ラドリーンは、思わずため息をついた。

「どうした?」

アスタリスが耳元で問うた。

「この大地を豊かにするには、百年はかかるのではないかしら」

「おそらくは。本来なら、十年程度で緑は戻る。だが、人はそれまで我慢できない。そのうち、緑の領地を隣国と争うようになるだろう。戦が起き、大地はさらに荒廃する。更に多くの年月が必要となるわけだ」

「どうすればいいの?」

「ラドリーン」

アスタリスは悲しげに言った。

「答えは、あってないようなものだ。最良の道を示す事はできる。だが、そこを歩くのが嫌だといわれれば、そこまでだ」
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