海の城 空の扉
3
夕食は鰊(ニシン)だった。
燻製したニシンと野菜を煮込んだものと、スライスした硬いパンとチーズがラドリーンの部屋のテーブルに並んだ。
ここでは肉料理が食卓に並ぶことは、ほとんどない。
季節毎の祭日の時に鶏肉が出されるくらいで、普段はよくて塩漬肉かソーセージ、後は魚介類ばかりだ。
どこかで鶏と山羊を飼っているらしく、卵やチーズなどには事欠かない。
――ミャア
配膳を終えた<影>が部屋を出ていくと、猫は後ろ足立ちでラドリーンの脚にすがりついた。
「何か食べる?」
ラドリーンはチーズのかけらを手の平に乗せて言った。
――ミャウ、ウウウウ
「要らない? じゃあこれは?」
鰊を差し出すと、猫は飲み込むように食べた。
――ミャア
どうやら鰊がお気に入りらしい。
結局ラドリーンは、皿の中の鰊を全て猫にやってしまった。
鰊がなくなると、猫は暖炉の前に戻って毛繕いを始めた。
燻製したニシンと野菜を煮込んだものと、スライスした硬いパンとチーズがラドリーンの部屋のテーブルに並んだ。
ここでは肉料理が食卓に並ぶことは、ほとんどない。
季節毎の祭日の時に鶏肉が出されるくらいで、普段はよくて塩漬肉かソーセージ、後は魚介類ばかりだ。
どこかで鶏と山羊を飼っているらしく、卵やチーズなどには事欠かない。
――ミャア
配膳を終えた<影>が部屋を出ていくと、猫は後ろ足立ちでラドリーンの脚にすがりついた。
「何か食べる?」
ラドリーンはチーズのかけらを手の平に乗せて言った。
――ミャウ、ウウウウ
「要らない? じゃあこれは?」
鰊を差し出すと、猫は飲み込むように食べた。
――ミャア
どうやら鰊がお気に入りらしい。
結局ラドリーンは、皿の中の鰊を全て猫にやってしまった。
鰊がなくなると、猫は暖炉の前に戻って毛繕いを始めた。