海の城 空の扉
4
男は中空のテラスを突き進み、洞窟の岩壁の前に立った。
片手を上げて壁に当てる。
歌っている?
ハミングするような微かな歌声が、ラドリーンの耳に聞こえた。
洞窟に歌が反響し、こだまがさざ波のように寄せて来る。
男の手の下で岩壁が揺らいだ。
ラドリーンの目の前で、岩壁に大きな両開きの黒い扉が現れた。
男は何でもない事のように片手で扉を押し開き、閉まらないように背中で押さえた。
「中に入るがいい」
ラドリーンは少し躊躇った。
「夜明けまでそこにいるつもりか? 朝日が差し込んだところで、俺は土くれにはならんぞ」
からかうような男の口調に、ラドリーンは少し苛立った。
つんと顎を上げ、背筋を伸ばして男の横を通り抜けた。
扉の中に入ったラドリーンは、面食らって中を見回した。
ここは洞窟の中のはず?
扉の中は男の家のようだった。
どこか、書棚の奥の秘密の部屋に似ていた。
片手を上げて壁に当てる。
歌っている?
ハミングするような微かな歌声が、ラドリーンの耳に聞こえた。
洞窟に歌が反響し、こだまがさざ波のように寄せて来る。
男の手の下で岩壁が揺らいだ。
ラドリーンの目の前で、岩壁に大きな両開きの黒い扉が現れた。
男は何でもない事のように片手で扉を押し開き、閉まらないように背中で押さえた。
「中に入るがいい」
ラドリーンは少し躊躇った。
「夜明けまでそこにいるつもりか? 朝日が差し込んだところで、俺は土くれにはならんぞ」
からかうような男の口調に、ラドリーンは少し苛立った。
つんと顎を上げ、背筋を伸ばして男の横を通り抜けた。
扉の中に入ったラドリーンは、面食らって中を見回した。
ここは洞窟の中のはず?
扉の中は男の家のようだった。
どこか、書棚の奥の秘密の部屋に似ていた。