海の城 空の扉
◇最後の歌人(うたびと)
1
「お目覚めですか?」
帳(とばり)の向こうから<侍女>の声がする。
ラドリーンはゆっくりと瞼を開いた。
「今、起きたわ」
まだ眠気の残る声で返事をして起き上がった。
何だか体がだるい。
朝日の差し込む部屋の中で、<侍女>がテキパキと洗顔用の水を用意していく。
ラドリーンがどんな気分だろうと、身支度は日課の通り出来上がって行く。
ラドリーンは服を着て、椅子に座り、いつものように<侍女>に髪を梳かしてもらった。
真っ直ぐ前に顔を向けていたラドリーンの目に、暖炉の前で丸くなっている猫が映った。
そうだ。
昨日の夜、秘密の通路を通って海の洞窟に行った。
色の変わる髪をした不思議な男に会った。
猫が立って、猫が喋った。
あれは夢だったのだろうか?
「リナム」
そう。
リナムという名だった。
帳(とばり)の向こうから<侍女>の声がする。
ラドリーンはゆっくりと瞼を開いた。
「今、起きたわ」
まだ眠気の残る声で返事をして起き上がった。
何だか体がだるい。
朝日の差し込む部屋の中で、<侍女>がテキパキと洗顔用の水を用意していく。
ラドリーンがどんな気分だろうと、身支度は日課の通り出来上がって行く。
ラドリーンは服を着て、椅子に座り、いつものように<侍女>に髪を梳かしてもらった。
真っ直ぐ前に顔を向けていたラドリーンの目に、暖炉の前で丸くなっている猫が映った。
そうだ。
昨日の夜、秘密の通路を通って海の洞窟に行った。
色の変わる髪をした不思議な男に会った。
猫が立って、猫が喋った。
あれは夢だったのだろうか?
「リナム」
そう。
リナムという名だった。