海の城 空の扉
3
「じゃあ王様の他にも、霧の森の向こうから人が来たの?」
歌が終わると、ラドリーンは膝の上のリナムを撫でながら尋ねた。
「ああ」
アスタリスがラドリーンの部屋を訪れるようになって、七夜が過ぎていた。
ラドリーンはリナムと一緒に寝台の奥に座り、寝台の端に腰掛けたアスタリスの歌を聞くのが日課になっていた。
「その人達はどうしたの?」
「帰った者もいれば、この地で死んだ者もいる」
「そうね……王様の名前を忘れるくらい年月が経っているんですもの。きっとその王様だってもういないわ」
「こことソフォーンでは時の流れが違う。神王はまだ生きている――はずだ」
「あなたはいつここに来たの?」
竪琴の調弦をしていたアスタリスが、ラドリーンの方を見た。
「さあな。覚えていない。何にせよ、俺がこの地に残った最後のバードだ」
「その髪はどうして色が変わるの?」
「光の加減だろう」
「神王もそうだったのでしょう? あなたの種族ではよくある色?」
「ありふれてるよ」
「ねえ」
歌が終わると、ラドリーンは膝の上のリナムを撫でながら尋ねた。
「ああ」
アスタリスがラドリーンの部屋を訪れるようになって、七夜が過ぎていた。
ラドリーンはリナムと一緒に寝台の奥に座り、寝台の端に腰掛けたアスタリスの歌を聞くのが日課になっていた。
「その人達はどうしたの?」
「帰った者もいれば、この地で死んだ者もいる」
「そうね……王様の名前を忘れるくらい年月が経っているんですもの。きっとその王様だってもういないわ」
「こことソフォーンでは時の流れが違う。神王はまだ生きている――はずだ」
「あなたはいつここに来たの?」
竪琴の調弦をしていたアスタリスが、ラドリーンの方を見た。
「さあな。覚えていない。何にせよ、俺がこの地に残った最後のバードだ」
「その髪はどうして色が変わるの?」
「光の加減だろう」
「神王もそうだったのでしょう? あなたの種族ではよくある色?」
「ありふれてるよ」
「ねえ」