海の城 空の扉
アスタリスは少し目を細めて、窓を背に立つラドリーンを眺めた。


「やはり、お前には同じ種族の血が流れている気がする」


「そう?」

ラドリーンは小首を傾げた。

「そうなのかもしれないわね」


アスタリスはマントを脱いで椅子の背にかけた。

それからいつものように寝台の端に腰掛け、ラドリーンを手招きした。

ラドリーンはアスタリスの横に座った。

アスタリスは微笑み、ラドリーンを見つめたまま弦を弾いた。



『誰が知るだろう 海の果つる場所を

 誰が知るだろう 愛の安らう枝を

 今宵、君の閨(ねや)にありて

 愛を歌う

 君が吐息に唇を重ね

 その身に我が愛を刻む

 誰が知るだろう 空の果つる場所を

 誰が知るだろう 思いの尽きる果てを』



「その歌は何?」

ラドリーンは不思議そうに尋ねた。


「男が思う女に求愛する時に歌う歌だ」

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