海の城 空の扉
3
――ラドリーン、船が着いてる。あいつの船だよ
ネズミ探しから帰って来たリナムが、興奮気味に言った。
「あいつ?」
ラドリーンはリナムを膝に抱き上げた。
――ほら、喋られなくなる呪い(まじない)をかける奴さ
ああ……月に一度来るという?
「リナムは隠れていた方がいいんじゃない?」
――ここには来ないから大丈夫
「そうね」
ラドリーンはリナムの背中を撫でた。
訪れる者もない退屈な日々。
それももうすぐ終わりだ。
アスタリスは、一月(ひとつき)以内に幻獣たちを全てソフォーンへ移すと言っていた。
その後でラドリーンとリナムもここを去るつもりだ。
ラドリーンが一緒に行くと言うと、リナムはとても喜んだ。
『あっちへ行ったら鱒でもいいや』と言ったくらいだ。
ラドリーンとしては鰊でも鱒でも構わなかったが、それを誰が調理するのか不安だった。
料理などした事もない。
ネズミ探しから帰って来たリナムが、興奮気味に言った。
「あいつ?」
ラドリーンはリナムを膝に抱き上げた。
――ほら、喋られなくなる呪い(まじない)をかける奴さ
ああ……月に一度来るという?
「リナムは隠れていた方がいいんじゃない?」
――ここには来ないから大丈夫
「そうね」
ラドリーンはリナムの背中を撫でた。
訪れる者もない退屈な日々。
それももうすぐ終わりだ。
アスタリスは、一月(ひとつき)以内に幻獣たちを全てソフォーンへ移すと言っていた。
その後でラドリーンとリナムもここを去るつもりだ。
ラドリーンが一緒に行くと言うと、リナムはとても喜んだ。
『あっちへ行ったら鱒でもいいや』と言ったくらいだ。
ラドリーンとしては鰊でも鱒でも構わなかったが、それを誰が調理するのか不安だった。
料理などした事もない。