海の城 空の扉
◇彼方へ続く道
1
「どうすればいいの? 一体どうすればいいの?」
ラドリーンは繰り返し言い続けた。
王女だったなんて知らなかった。
王位なんて、もっと知らない。
城から出たいと思っていた。
けれど、それは自由がほしかったからで、別の不自由に飛び込むためじゃない。
揺れる船の上で絶え間なく吐き続けるためでもない。
断じて違う。
――落ち着いて、ラドリーン
膝の上に陣取ったリナムが小声で言った。
「だって……」
リナムだってこんな事に巻き込むつもりはなかった。
城に置いて行こうとしたのに、リナムはしがみついて離れなかった。
『二人ともいなくなったら誰がバードに知らせるの?』と説得して、リナムはやっと離れた。
ところが船に乗ると、〈侍女〉がリナムを抱いて来てラドリーンの膝に乗せた。
「やっと見つけました」
〈侍女〉はニコリともしないで言った。
あり得ない。
「バードは心配するかしら?」
――たぶんね。でも、大丈夫だよ。ネズミを捕まえて伝言を残したから
ラドリーンは繰り返し言い続けた。
王女だったなんて知らなかった。
王位なんて、もっと知らない。
城から出たいと思っていた。
けれど、それは自由がほしかったからで、別の不自由に飛び込むためじゃない。
揺れる船の上で絶え間なく吐き続けるためでもない。
断じて違う。
――落ち着いて、ラドリーン
膝の上に陣取ったリナムが小声で言った。
「だって……」
リナムだってこんな事に巻き込むつもりはなかった。
城に置いて行こうとしたのに、リナムはしがみついて離れなかった。
『二人ともいなくなったら誰がバードに知らせるの?』と説得して、リナムはやっと離れた。
ところが船に乗ると、〈侍女〉がリナムを抱いて来てラドリーンの膝に乗せた。
「やっと見つけました」
〈侍女〉はニコリともしないで言った。
あり得ない。
「バードは心配するかしら?」
――たぶんね。でも、大丈夫だよ。ネズミを捕まえて伝言を残したから