海の城 空の扉
2
猫は礼拝堂を出ると、ラドリーンの部屋の前を通り過ぎ、奥へと向かった。
いったいどこへ行くつもりだろう?
猫は時々振り返る。
ラドリーンがいるのを確かめているようだ。
間もなく、猫は立ち止まった。
後ろ足だけで立ち上がり、図書室――といっても情けないほど蔵書が少なく、棚はがら空きな部屋――の扉をガリガリと引っかく。
ドアを開けたいのだろうか、
それとも木製のドアが爪磨ぎにちょうどいいのか。
黙って見ていると、猫は恨めしげな目でラドリーンを見上げた。
――ミャア
「中に入りたいの?」
猫が頷いたように見えたのは気のせいだろうか。
「退けなさい」
ラドリーンは猫を押し退けて扉を開いた。
図書室は、少し寒かった。
書物の劣化を防ぐために、日差しの弱い方角に窓をつけているせいだ。
ラドリーンの横をすり抜けて中に入った猫がくしゃみをした。
いったいどこへ行くつもりだろう?
猫は時々振り返る。
ラドリーンがいるのを確かめているようだ。
間もなく、猫は立ち止まった。
後ろ足だけで立ち上がり、図書室――といっても情けないほど蔵書が少なく、棚はがら空きな部屋――の扉をガリガリと引っかく。
ドアを開けたいのだろうか、
それとも木製のドアが爪磨ぎにちょうどいいのか。
黙って見ていると、猫は恨めしげな目でラドリーンを見上げた。
――ミャア
「中に入りたいの?」
猫が頷いたように見えたのは気のせいだろうか。
「退けなさい」
ラドリーンは猫を押し退けて扉を開いた。
図書室は、少し寒かった。
書物の劣化を防ぐために、日差しの弱い方角に窓をつけているせいだ。
ラドリーンの横をすり抜けて中に入った猫がくしゃみをした。