先生と僕たち私たち
日誌を取り出す左手の薬指に、そのゴツい指には似合わない指輪があることに気が付いた。

「せ、先生、結婚されてるんですか?」

「おう。25に結婚して今年32だから7年目」

「子どもさんは?」

菅原は意外な苦笑いをした。

「それがなかなか子宝に恵まれなくてな」

ハイ、と日誌を渡された。

お礼を言い、職員室をあとにする。

菅原の苦笑いは貴重かもしれない。

そして私生活の話も。

話なんてするつもりじゃなかったのに。
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