宝物〜絆〜
「美咲……さんって言ったよな。その、なんて言うか……。色々とお騒がせしてすみませんでした」

　沙織はどことなくばつが悪そうな様子で俯いている。

「ああ。良いよ、別に。それよりこっちこそ悪かったな」

「いえ、本当……。私の方こそすみませんでした。美咲さんのおかげで目が覚めました。ってより頭では分かってたんです。なのに……、本当ごめんなさい。香奈も分かってるとは思うんです。私からも話しておきます」

　話しながら顔を上げて私を見ると、真剣な表情で頷いた。

　印象とは違う沙織の素直な言動を見て、私は思わず笑顔になる。

　なんだかんだ言って沙織も香奈の事ちゃんと理解してて、心配してんだな。

「そうか。頑張れよ」

　心底、応援したくて優しく微笑みかけた。

　すると沙織は戸惑ったような笑顔を見せ、頷くように軽く頭を下げた。

「はい、ありがとうございます。仁美達もゴメンな。今から一緒に香奈の様子見に行かねえ？」

　沙織はそう言いながら仁美達に視線を移して返答を待つ。
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