宝物〜絆〜
 乗ってすぐに五階のボタンを押し、開ボタンを押し続けていると秀人も乗り込んで来た。

 秀人が乗ったのを確認して扉を閉めると、エレベーター内では誰も口を開く事なく五階に到着する。

 やっぱエレベーター内では自然に口数が少なくなるな、と思いながら部屋に向かった。

 鍵を開けて唯に入るように促すと、唯は「お邪魔しまーす」と言って上がって行く。

 横を見ると立川が「部屋、隣って……。狙ったの?」などと聞きながら入って行った。

 狙ったからといって簡単に出来る事じゃない。隣なのはマジで偶然だ。

 秀人は「いや、偶然だよ」と答えた後、私の方を向いて「じゃ、また後で」と言って部屋に入って行く。

 秀人に返事をして、私も部屋に入った。

「ねえ、美咲ちゃんと神城さんって付き合ってるの?」

 部屋に入った瞬間、廊下で立ち止まっていた唯が好奇心旺盛な瞳で質問してくる。

「いや、付き合ってないよ」

 平静を装って答えたけど、内心では心臓がバクバクしていた。最近、秀人の事意識しすぎって自覚はあるけど、まさか態度に出てんのか?

「そっかぁ。てっきり付き合ってるのかと思ってた」
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