宝物〜絆〜
 その後、茜と合流した私たちは、夜のフリータイム開始時間までファミレスで時間を潰した。

 話に夢中になっていたせいか、あっという間に時間が過ぎ、カラオケに向かう。

「いらっしゃいませ」

 店内に入ると同年代くらいの女の店員が笑顔で迎えてくれた。

 ここのカラオケ屋は、ホテルとまではいかないが、他のカラオケ屋に比べると小綺麗で洒落た雰囲気がある。

 店員も愛想が良い子が多くて、印象が良いお店だ。

 受付でフリータイム、フリードリンクを頼み、機種もちゃっかりDAMを指定して二階の部屋に入った。

「俺、生中」

「んじゃ俺も」

 部屋に入るなりメニューも見ずにドリンクを決める立川。秀人もそれに便乗する。

 続いて私がソルティードック、茜がカルーアミルク、唯がジントニックに決めた。

「とりあえず煙草吸って来るわ」

 何となく茜や唯の前で煙草を吸いたくなくて席を立つ。まあファミレスでは個室じゃないから、そんなに気にしないで吸えてたんだけど。

「あっ、私たちに気を使わないでここで吸って良いよ」

 ドアの取っ手に手をかけた時、茜が慌てて引き止めてきた。

 でもやっぱり気になるから、と一言断って部屋を出る私。

 部屋を出て、店の出入口にある灰皿に向かう。階段を降りている途中、受付に見覚えのある四人組が視界に入ってきた。
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