宝物〜絆〜
「美咲ちゃん、歌上手いね」

 歌い終わった時、唯が瞳をキラキラさせて話し掛けてくる。

「いや、久しぶりだから声が出ねえわ。つか、みんな上手くね?」

 実は歌は私の数少ない特技の一つ。というより、歌が一番自信があると言っても過言ではない。

 そんな私から見て、今日のメンツはみんなかなり上手かった。

 お世辞抜きでみんな上手くて、テンション高々に酒を飲む。楽しい時間はあっという間で、気付いたら午前零時を過ぎていた。

「腹減ったな」

 曲と曲の合間に、立川がボソッと呟いた。

「そういやそだな。どうすっか。ここで食う? それとも出る?」

 秀人は全員を見回して質問する。

 ふと茜と唯に視線を移すと、明らかに飲み過ぎである。

「俺らは良いけど、この二人はちゃんと学校行かせなきゃまずいんじゃね? とりあえず出た方が良いだろ。まっ、俺は閉店まで居ても良いけどよ」

 立川も二人の状態に気付いたらしく、出る方を提案する。

「とりあえず帰った方が良いな。つか、いつの間にこんな飲んでたんだ?」

 私も帰る方向に話を進めると、秀人も同意して店を出る事になった。

 帰る事に決まった矢先に、茜と唯は「まだ飲みたい」などと言っていたが、なんとか説得して店を出る事に成功した。
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