宝物〜絆〜
 


     * * *



 結局、放課後になっても電話は繋がらなかった。

「結局、電話繋がんなかったな」

 俺は美咲が教室を出た後、秀人の席に歩いていく。

「ああ。まっ、とりあえず今から家に行ってみるか」

 秀人は俺に返事をすると、バイト先に『今日は少し遅れる』という連絡を入れていた。

 俺の方は多少時間がかかっても間に合うだろうな、とは思いつつも念のため遅れるかもしれない事を連絡しておく。

 教室を出て廊下を歩きながら、晃に何を話そうか考えた。

「それにしても晃の奴、美咲に何させるつもりなんだろうな」

 考えながら独り言のようにボソッと呟く。

 美咲から電話したにしろ、晃から何か言われなきゃ俺らにあんな態度とらねえだろ。一人で全部被ろうとか考えてない限りは。

……って、おい。待てよ。まさかそれじゃねえよな?

 自分が行き着いた結論に若干青ざめていると、秀人の返事が聞こえてきた。
< 275 / 475 >

この作品をシェア

pagetop