宝物〜絆〜
* * *
結局、放課後になっても電話は繋がらなかった。
「結局、電話繋がんなかったな」
俺は美咲が教室を出た後、秀人の席に歩いていく。
「ああ。まっ、とりあえず今から家に行ってみるか」
秀人は俺に返事をすると、バイト先に『今日は少し遅れる』という連絡を入れていた。
俺の方は多少時間がかかっても間に合うだろうな、とは思いつつも念のため遅れるかもしれない事を連絡しておく。
教室を出て廊下を歩きながら、晃に何を話そうか考えた。
「それにしても晃の奴、美咲に何させるつもりなんだろうな」
考えながら独り言のようにボソッと呟く。
美咲から電話したにしろ、晃から何か言われなきゃ俺らにあんな態度とらねえだろ。一人で全部被ろうとか考えてない限りは。
……って、おい。待てよ。まさかそれじゃねえよな?
自分が行き着いた結論に若干青ざめていると、秀人の返事が聞こえてきた。