宝物〜絆〜
「寄るのは良いけど、俺は服良いよ。服が濡れちまうし」

　借りた服を濡らすのもどうかと思って断ったのだが、「服なんてすぐ洗えるから良いよ。制服濡れると大変だろ」と言われて有り難く服を借りることにした。

　それから着替えをして単車に乗り、晃の家に向かう。

　その途中、ふと思い立って信号待ちの時に口を開いた。

「先に俺ん家寄ってくんね？　俺も自分の単車乗ってくわ。したら秀人、そのまま帰れんだろ」

　俺の話に秀人が同意してくれて、一旦俺の家に寄ってから再度晃の家に向かう事になった。

　晃の家は秀人の家からだと単車で二十分くらい。俺の家からは十分くらいの距離にある。

　家自体は、市街地に建っているにも関わらず、普通の家の数十倍はある敷地面積。要するに晃は大金持ちのお坊ちゃまって訳だ。

　敷地内にはあいつの親が経営する会社の社員の為にある寮まで完備されている。

　使用人も俺が見たことあるだけでも結構居て、実際何人居るのか把握しきれていない。
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