宝物〜絆〜
「そうだな。今日のうちに帰って来るかも分かんねえし。明後日バイト休みだから、明後日また来ねえ?」

 秀人は何故か呑気な事を言っている。

「俺も休みだから良いけど、明日の方が良いんじゃね? 美咲が動く前に来なきゃマズイだろ」

 俺は思わず突っ込んだ。そもそも秀人の方が美咲の身を心配してるはずなのに、何でこんな悠長なこと言ってんだ?

「美咲が動くのもバイト休みん時だと思うし、大丈夫だよ。それに明日も会えない可能性あんじゃん。明後日なら、帰って来るまで待つ事も出来るし」

 秀人は言いながら考え込むような仕草をすると、言葉を続ける。

「……やっぱ俺、明後日学校サボって話しに来るわ。したら一日フリーんなるからいくらでも待てるし、美咲より先に中西に会えんだろ」

 確かにそれが一番早くて確実に会える気がするな。電話が繋がらない今、ここに来る以外晃に会う方法はねえんだし。

 秀人の話に納得した俺は「んじゃ俺も一緒に来るよ」と言って頷き、今日は解散する事になった。
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