宝物〜絆〜

 


     * * *



 翌日。昨日とは打って変わってカラッと晴れた午後の教室内で、何気なく美咲の席に視線を移す。

 美咲の態度は一晩経っても相変わらずで、誰とも話そうとせず、昼休みも終わりかけの頃からずっと机に突っ伏している。

 昨日一晩、足りない頭で色々と考えてみたけど、俺は秀人と行く前に、今日一人で話しに行ってみることにした。

 その方が晃を説得出来る可能性が上がると思ったから。尤も、それでも確実とは言えねえけどな。

 実際、あいつとの付き合いは決して長いとは言えない。それでも、なんだかんだで一年以上になる。

 あいつが俺の事どう思ってんのか分かんねえけど、俺からすると世話の焼ける弟が一人増えたような感覚だ。

 まっ、そんな奴に自分が的にかけられてりゃ世話ねえけどな。ったく、どういうつもりなんだか。

 何にしろ今日あいつと話をして、最悪でもあの二人には手え出さねえように説得しねえと。

 そんな事を思いながら視線を戻すと、水谷の声を子守歌にして眠りに落ちた。
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