宝物〜絆〜
 それが出来るのも、秀人が話を纏めるのが上手いってのも確かにある。でもそれ以上に私が秀人を心から信頼してるから。ガキの頃からずっと、ただ一人、本当に気を許せる相手だったんだから。

「いや、はしょりすぎだろ。言いてえ事は分かったけど、全然意味が分かんねえよ。まぁ良いや。要するに三人がお互い相手の事、真剣に考えてるから、話が纏まんねえんだろ?」

 秀人は茜と唯に視線を移す。

「望月さんや笹木さんが、美咲の事を心配してくれてんのは分かったよ。話の内容はよく分かんねえけど、結論としては月曜から俺も同じ学校だし、何かあったら俺が全員守るよ。美咲、そんで良いだろ?」

 秀人は私の方を向いて優しい笑みを零した。

 良い訳ないだろ。なんで、私みてえな碌でなしの周りに、こんな良い奴ばっか集まってんだよ?
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