BirthControl―女達の戦い―
丸山は家も近所なのもあり、あの事件の後、診察もしてもらったから知っているのは当然だった。


久枝はここに来たばかりでまだ傷が癒えない頃、自分から過去を話した初めての人だった。


久枝のおかげで遥香は立ち直ることが出来たし、なにより看護師の仕事も誇りをもってやることが出来ている。


今の自分があるのは、この二人がいてくれたおかげだと遥香は思っていた。


遥香の希望を両親がようやく聞き入れてくれたのは、もう願書を出さなければいけないギリギリの時期だった。


交換条件などあっさり一蹴されて、高校を卒業したら結婚しろの一点張りで、遥香は最後の手段に出たのだ。


食事を一切とらなくなり、同時に学校以外では部屋に引きこもる毎日。


それを1ヶ月続けていたある日のこと、気がつくと病院のベッドで目が覚めた。


どうやら栄養失調で倒れたらしい。


その時に目に飛び込んできたのは、心配そうに見つめる両親の顔だった。


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