BirthControl―女達の戦い―
目を覚ますと、母は泣きながら遥香の体に抱きついてきた。


それを側で見ていた父は、涙を堪えているのか、指で目頭を押さえていた。


しばらくして顔を上げた父は、目を真っ赤にしながらも優しく労るように遥香に言った。


「お前の好きにしなさい……

だからもう二度と心配かけるんじゃないぞ?」


忙しい両親が揃ってこんな時間にいることなどめったにないことだった。


政治家という仕事柄、それも仕方ないとどこかで諦めていた。


だから、今二人揃って側にいてくれることは、自分が大切に思われてる証拠でもある。


遥香はちゃんと愛されていることを実感したと同時に、卑怯な真似をして心配かけたことを、深く反省した。


それでも看護学校に行くことを認めてもらえたことは、すごく嬉しいことだった。


「ありがとう……」



遥香は母を抱き締めると父の方を向いて、泣きながら笑顔を作った。


それから遥香は無事に看護学校に合格し、四年間一生懸命勉強をしたかいもあり、国家資格を取得できた。


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