BirthControl―女達の戦い―
そして――


あれは卒業間近の冬のこと。


遥香は授業を終えて、いつものように自宅に帰宅する途中だった。


歩いている遥香の横を、スーッと黒いワゴン車が通り過ぎていったのだ。


遥香のいる場所から少し先に車は停まったけれど、その時は特に気にもしていなかった。


けれど停まった車の横を通りすぎようとした時――


ガラッと後ろのドアが開き、中から手が伸びてきて遥香の腕を掴んだのだ。


咄嗟に逃げようとしたけれど、その手は遥香を逃すことなく捕らえ、車の中に引き入れた。


あっという間の出来事だった。


いつの間にか目隠しをされ、口にはガムテープが貼られた。


両手と両足もロープのようなものできつく縛られ、皮膚に食い込んでくる。


遥香は声を出すことも、暴れることも、何も出来ないまま、ただその車が向かう目的地に連れられていくしかなかった。


初めて自分が死ぬかもしれないという恐怖でいっぱいになった。


もしかしたら犯されるのかもしれないとも思った。

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