BirthControl―女達の戦い―
まだフラフラしている遥香を抱き抱えるようにして、どこかへと連れられていった。


ふいに部屋の中に入ったような感じがした。


歩いている感触が、土から床へと変化したのだ。


どこかの小屋なのだろうか?


木の香りがしたような気がする。


ぼんやりとそんなことを思ったとき――


突然背中を思いきり突き飛ばされた。


壁らしき場所に頭と肩を強打する。


遥香はそのままズルズルと床に崩れ落ちた。


軽い脳震盪を起こしたのだろう。


遥香が意識を手放しそうになった時、バタンと音がして自分を連れ去った犯人達が出ていく気配がした。


どうやら遥香はこの部屋に取り残されたらしい。


監禁、という言葉が脳裏をかすめた。


これからどうなってしまうんだろう?


彼女達の目的は何なのか?


もうすぐ卒業して、看護師として働くはずだったのに……


父の秘書との結婚も決まっていたというのに……


父と母は血眼になって探すだろう……


それまで無事でいられるんだろうか?


そんなことが瞬時に頭を掠めたあと、遥香は徐々に意識をなくしていった。
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