BirthControl―女達の戦い―



目が覚めた時、遥香はさっきとは違うだろう部屋のベッドに寝かされていた。


目隠しをされていたのだから、部屋が違うことなどわかりそうもないのだけれど、遥香は直感でそう思った。


目隠しは外されており、口を塞いでいたガムテープも取られている。


ふと自分の体を見ると、着ていた服は脱がされて、代わりに白いTシャツとグレーのスウェットのようなものが着せられていた。


顔を触ってみると、転んだ時の汚れはきれいに拭き取られている。


遥香は自分が気を失っている間に、誰かが汚れを落として着替えさせてくれたんだと、ようやく気付いた。


あのまま監禁されるのだとばかり思っていた遥香は、こうして手厚く看病されたことに戸惑ってしまう。


体を起こそうとすると、さっきぶつけた肩や頭に痛みが走った。


「痛っ!」


思わず顔を歪めてそう声をあげてしまうと、誰もいないと思っていた部屋の中から、女性の声がした。


「目が覚めた?」


遥香からは死角になっていたのだろう。


その女性は急に遥香の視界に現れ、こちらに近づいてくると、顔を覗きこみながらそう言った。


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