BirthControl―女達の戦い―
驚いた遥香は声も出せずに、ただ頷くことしか出来ない。


「頭を打ってるから、もう少し安静にしてた方がいいわ

荒っぽい真似してごめんなさいね?」


白衣を羽織る美しいその女性は、そう言って悲しそうに笑った。


たぶん、この人は医者か看護師なのだろう。


手当てしてくれたのも、きっとこの人なんだろうと遥香は思った。


謝るということは、遥香を連れ去った人達の仲間なんだろうし、なぜ拉致したのかも知っているに違いない。


「あ…の……ここ…は……?」


口を開くと思いの外、喉の奥がカラカラで、声が出ないことに驚く。


「ああ、ちょっと待って?」


彼女はまた遥香の死角に引っ込んだかと思うと、またすぐに現れて水の入ったペットボトルを渡してくれた。


「喉、渇いたでしょう?
良かったら飲んで?

いろいろ聞きたいことあるだろうけど、今はまだ何も話せないから……

ごめんね?」


遥香が思っていたことを全部察してくれたようにそう言った彼女は、拉致した仲間だとは思えないほど優しく、そして悲しげだった。


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