BirthControl―女達の戦い―
ただ反政府を訴えたところで、少子高齢化に歯止めをかけ、経済を上向きにすることが出来たこの政策を、簡単には翻すはずがない。


相手にされないこともわかりきっているはずだ。


だからこそ、遥香の存在が必要なんだと納得した。


政府を振り向かせ、辛く悲しい思いをしている女達がこんなにもいることを訴えるために。


少なくとも遥香の両親は、娘を取り戻すためなら、聞く耳を持つだろう。


それをわかっていての、今回の拉致なんだと遥香は理解した。


それと同時に、同じ女性として自分に出来ることがあるのなら、喜んで協力しようと思えた。


両親には悪いけれど、遥香自身も今の政策には疑問を感じる。


ただ子供を増やして高齢者を排除することが、経済の活性化に繋がるんだとしたら、それはもう人権など無視したゲームのようなものだ。


「私もそう思います」


今度ははっきりとした口調で、遥香はそう言った。


カナメもリオも驚いたような顔をして、遥香の顔をまじまじと見ている。


「お前、わかってんのか?

利用されようとしてるんだぞ?」


「そうよ?

遥香ちゃん、無理しなくていんだからね?」


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