BirthControl―女達の戦い―
「お父さんとお母さんの作った法律のせいで、辛い思いをしてる女性達ばかりだったのに……

私を誘拐したのだって、そうしなきゃ誰も彼女達の話を聞かなかったからでしょ?

取引に応じるふりをして……

みんなを殺すなんて……

許せない!

ねえ、お父さん?

私がこれからずっと子供を生まなかったら、私もあの人達と立場は同じだよね?

だったら!

この国に必要ないんだから、私も同じように殺してよ!」


「何を言うの!

あなたを殺せるわけないじゃない!

遥香を助けるために、お父さんがどれだけいろんな人に頭を下げたと思ってるの!

それもこれもみんな遥香を死なせたくなかったからなのよ?

それなのに、なんでそんなこと……ウッ」


譲と遥香の様子を部屋の入口で立ち竦みながら、じっと話を聞いていた和子が、そう叫びながらこちらに近づいてくる。


そして我慢できずにポロポロと涙をこぼしながら、遥香を毛布ごと抱き締めた。


遥香はそれでも、泣いている自分の母親に向かって冷ややかな視線を送っている。


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