BirthControl―女達の戦い―
真っ直ぐに譲を見つめながらそう言い放つ娘に、ガックリと肩を落とした。


なぜ自分の可愛い娘をあんな施設で、しかも住み込みで働けるように指示しなきゃならないのか……


そんなことのために、譲達夫婦は今日まで日本のために働いてきた訳じゃない。


そんなことが頭の中をグルグル回り、動揺しすぎて言葉が出てこない。


妻も自分が抱き締めている相手が、まさかそんなことを言い出すとは思わなかったのだろう。


青ざめた顔で、遥香を見上げている。


譲はなんとか気持ちを落ち着けて、遥香に問いかけた。


「なぜOldHomeなんだ?

別に他にも看護師として働ける場所はいくらでもあるだろう?

病院ならお父さんのツテがいくつかあるから、その中からお前が気に入ったところで働けばいい

なっ?そうしなさい」


譲の話をじっと聞いていた遥香は、最後の方になると呆れたように溜め息をついた。


「お父さんはいつもそう

私の意見なんて聞こうともしないで、自分の価値観を押し付けてくる

私はただ看護師として働きたいんじゃない!

死ねないのならせめて……

殺された彼女達に償えるような仕事がしたいの」


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