BirthControl―女達の戦い―
暗く不気味な深い森の中を……
二人は息をつく間もなく必死に走り続けた。
突き出た枝々が身体中を傷付け、地面に蔓延る根っこには何度も足を取られそうになる。
それでも二人は後ろを振り返ることなく、延々と続く闇の中を走り続けた。
ふと目の前に一筋の光が見えた気がした。
(――森から出られる!)
その時、要はそう思った。
隣で自分に必死についてくる梨央の手を掴み、光に向かってさらに走りだす。
(……もうすぐだ!
もうすぐここから出られる!)
息を上げながら辿り着いた光の先は、下流世帯区域の端の端にある倉庫街だった。
急に視界が開けて、二人はよろめきながら、重なるように倒れる。
「ハアハア……ハア……
梨央?大丈夫か?」
「ハアハア……う……ん……
ハア……な……んとか……」
「そう……か……良かった」
片膝を立てて座りながら、要は必死に呼吸を整えた。
梨央はまだ倒れた体勢のまま、胸を上下させている。
もうすでに太陽は顔を出しはじめて、どんどん体温を上げていく。