BirthControl―女達の戦い―


「要、そろそろよ?」


「あぁ、わかってる」


ここは上流世帯区域にある高級料亭。


要と梨央はこの五年の間に、あらゆるツテを使い今の地位を手に入れた。


地位と言っても、金持ち相手のコンパニオンみたいなものだけれど……


けれど酒が入ると金持ちのおじさま方は、いつもより饒舌になる。


要達の情報収集にはもってこいの仕事だった。


要も梨央も旗から見ればかなりの上玉だ。


どこの料亭のお座敷に招かれても、気に入られることはあっても、断られることはない。


政治、経済に関わるお偉方の自慢話に耳を傾け続け、彼女達はいつの間にか指名すらもらえるほどになっていた。


とりあえず窓口は梨央の役目で、仕事の依頼を受けたり、金額の交渉などをしてくれている。


医者の仕事はあれからずっとさせてあげられないままだ。


それでも梨央は文句も言わず、暮らしていくための生活費や、反政府運動を興すための資金を貯めることに専念してくれている。


要はといえば、リーダーという肩書きがなくなってしまえば、特に自分に出来ることはなく、梨央におんぶに抱っこの状態だった。


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