BirthControl―女達の戦い―
それが要は悔しかった。


何も出来ない自分が腹立たしい。


出来ることといえば、梨央に言われるまま、その場に合わせた衣装を着て、上流の狸どもに接待をすることくらいだ。


けれどそれしか役に立たないとはいえ、普段から女を武器にしていない要にとって、それは屈辱以外のなにものでもない。


とりあえず要達は娼婦ではないため、そういうことを強要されることはないけれど、勘違いした客に尻を触られることなど日常茶飯事だった。


梨央は上手くかわしていたけれど、要はその耐え難い行為に手を上げないように自分を抑えることで精一杯だった。


確かに高級娼婦は存在する。


あいつらは子供を産めない女を切り捨てるくせに、行き場を無くして生活するために娼婦となった女達のことを慰み者にする汚い連中だ。


しかも相手は子供が出来ない体だと知った上で、安心して事に及ぶことが出来るんだと、いつか禿げたお偉い政治家が自慢気に話すのを聞いて吐き気がしたのを覚えている。


それでもいつかこいつらの実態を暴いて、どの女性にも平等な生活が出来るよう、ひきつった笑顔を浮かべて話を聞きながら、いろんな情報を集めているのだ。


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