BirthControl―女達の戦い―
「大丈夫だよ

麻生くんも少しピリピリしすぎなんじゃないか?

もっとたまには羽目を外しなさい

大臣になってから、猜疑心が強すぎるんだよ君は」


呆れたようにそう話す稲田に、麻生は苦虫を噛み潰したような顔で答えた。


「ですが、部署が部署だけに、いつでも猜疑心を持って行動しなければ、いつ自分の首を絞めることになるかわかりませんから」


きっとこの男はずっと気を張って、今まで取りこぼすことなく任務を全うしているんだろう。


生真面目で猜疑心が強く、責任感のある男なのだ。


生真面目で責任感のあるところは、遥香に似ているのかもしれないと要はその時思った。


梨央はそんな稲田と麻生のやりとりを見ながらも、バカな女のふりをして、ますます男たちに斬り込んでいく。


「えぇ!あのOldHomeの責任者さんなんですか?

私たちもいずれは入らなきゃいけない施設だからすごく興味あるんですよねぇ」


少し甘えた声で、施設の責任者だと言われた男にすかさずそう言える梨央はさすがだ。


自分には絶対出来ない芸風だと要は苦笑しながらその様子を眺める。


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