BirthControl―女達の戦い―
怒鳴る夏木を宥めるように、稲田が口を挟む。


夏木に怯むことなく、梨央は懲りずに稲田の言葉に乗っかった。


「そうなんですか?

さすがは麻生先生の娘さんですねぇ?

ということはご自身であの施設で働くことを希望されたんですね?

なかなか出来ることじゃありませんよ

施設の住人のお世話をするだなんて

素晴らしいです

それにそれを受け入れてお口添えをなさった稲田先生にも敬服いたしますわ」


それを聞いて満足そうな顔をしながら、稲田はさらに付け加えた。


「いやいや、まさか麻生くんの娘さんを下流の者と同じ仕事にはつかせんよ

看護師として働いてもらってるんだが、どうやら働きっぷりもいいようだし、住人からのウケもいいらしい

さすが麻生くんとこの娘さんだと話してたとこだったんだよ

なあ?青柳くん」


急に振られて驚いたような顔をした青柳は、麻生の手前なのか、気まずい様子で仕方なく頷く。


要は遥香が看護師として働いていたことに驚いたと同時に、念願の仕事を遥香が出来ていることを嬉しく思った。


チラッと麻生の顔を盗み見る。


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