BirthControl―女達の戦い―
丸山はその様子にただならぬ雰囲気を感じたのか快くそれに応じてくれた。


ここじゃなんだからと、また車を走らせ、薬品や医療器具が置いてあるという備品庫に案内してくれる。


狭いながらもちょっとした休憩室みたいな部屋に、丸山は二人を招き入れた。


椅子を勧められて言われるまま座ると、丸山は近くの販売機まで飲み物を買いに行ってくれたらしい。


しばらくして戻ってきた彼の手には缶コーヒーが3本握られていた。


それぞれそれを手渡され、恐縮しながら礼を言う。


丸山は自分のコーヒーを一口飲んでから、私たちに向き直った。


「OldHomeからつけてたってことは、あの施設について何か知りたいということなのかな?」


単刀直入にそう言われて一瞬驚いたけれど、逆に聞いてくれているのだから好都合だ。


要はコーヒーを握りしめたまま、丸山の質問に答えた。


「実は、あの中で何が行われているかを知りたかったのと、知人があの施設にいるので、元気なのか様子を聞きたかったんです

尾行したことは謝ります
申し訳ありませんでした

だけど、そのくらいでしかあの中のことを知る人物と接触することが不可能だったので……

住人の健康を見守ってきた丸山先生なら、何かご存知なんじゃないかと思いまして……」


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