BirthControl―女達の戦い―
淡々と聞きながら、丸山がその言葉にピクッと反応したのを見逃さなかった。


「やはり……、お気づきにはなってたんですね?」


梨央がそう問い詰めると、丸山は仕方ないというようにようやく口を開いた。


「確かに……疑問に思ったことはあった

だがそのことについて口にするものは誰もいなかったし、そんなことが実際行われているなんて、信じたくもなかったんだ……

それに私も最初はあの人はどうしたんだと、施設の者に尋ねたりもしたんだが……

答えはいつも亡くなったとしか返ってこなくて……

確かにあそこには重い病気の患者は見当たらない

元気で介護がそれほど必要のない、いわば楽なお年寄りしか存在していないのは確かだ

そして80歳以上のお年寄りが存在しないのも確かなんだ……」


そう言って自分を責めるように項垂れた丸山の背中は、悲しみに震えていた。


「先生のせいではないですよ?

あの大きな伏魔殿のような施設で、一人で闘うのは難しいですから

自分の家族を守る意味でも、一つの疑問に立ち向かうのは無理だと思います

でも、先生が少なからずおかしいと感じていたんだとしたら……

あの勘のいい遥香が気づかないはずないわね?」


最後の言葉は要に向けて放つ。


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