BirthControl―女達の戦い―
遥香に無理はさせたくなかったけれど、今の時点であの中で動けるのは遥香しかいない。


苦渋の選択ではあったけれど、遥香は5年も前からあの施設で暮らし、隠密に行動しながら、自分たちからの連絡を待っているんじゃないかと、梨央は思った。


梨央たちならいつかきっと、OldHomeを叩くことで政府内部を崩していくだろうと見越しての行動なら、本当に恐れ入る。


あのたった3週間での絆がこんなにも強く太く繋がっていることに、感謝しなくてはいけない。


当初は敵だと思われたあの小さな娘が今、最強の助っ人として自分たちの前に現れるなんて思っても見なかった。


でもだからこそ、遥香を危険に晒すことになると思いながら、どこかであの子ならやってくれるんじゃないかと思えるのかもしれない。


来月、OldHomeを訪問する丸山に全てを託して、梨央も要も時が来るのを待つ準備をしなくてはならない。


二人はもう一度丸山に礼を言うと、薬品臭い部屋から足を踏み出した。


もう少しここに残ると言った丸山を置いて、梨央と要は自分たちの車へと颯爽と歩いていった。


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