BirthControl―女達の戦い―
そんな厳しい状況で、職を失った息子を養う程の余裕は実家にはないだろう。


かといって百合子との間に子供が出来るとは、とても思えなかった。


この会社だって、何社も受けてようやく採用になったくらいだ。


再就職も難しいことは明らかだった。


ギリギリの生活をしているせいで、洋一達にも貯金はない。


唯一貯めていた小遣いも、礼子ママのところに通うために、ほとんど遣いきってしまっていた。


呆然としながら今後のことについて、あれこれ頭を悩ませていると、何の興味もなさそうな顔で部長が俺を見て言った。


「じゃ、そういうことだから

手続きは総務に行って詳しいこと聞いてくれ

月末まであと5日程あるが、仕事より自分の持ち物を整理したり、必要な書類を用意したりして過ごしてくれればいいから

今までごくろうさん」


(……そんなもんなのか?)


一応それなりに頑張ってたつもりなのに、辞めるときはこんなにあっさり切られるんだと言うことに、洋一はショックを隠しきれなかった。


しかもこれからのことを考えれば考えるほど気が重くなっていく。


< 19 / 406 >

この作品をシェア

pagetop