BirthControl―女達の戦い―
「ですが、もうすでにOldHomeの運営は火の車です

法案を通っても実施されるまでに時間がかかれば厳しい状態です

なんとか補正予算を通してもらえないでしょうか?」


「すまないがそれは無理そうだ

子供手当てが莫大になりすぎてOldHomeにまで予算を回すことが出来そうにない

子供を持たない家庭にかける税金も、すでにギリギリまで上げているからこれ以上は難しい

子供を増やすことには成功したが、その子供たちが大人になって社会貢献するまで時間がかかりすぎるんだ

政府内では子供手当てを廃止しようという動きもあるが、これには国民が反発するだろう

わかってくれ、今は微妙なバランスで成り立っているんだ

ここでOldHomeの赤字を露呈すれば、厚労省が叩かれることは間違いない」


高志は絶句した。


『少子化対策支援法』が出来てから、高齢者を排除し子供を増やすことで、日本の未来は明るいものだと信じていたのに……


自分が今までやってきたことはいったい何だったのか……


これだけいろんなものを犠牲にしてまでやり続けたものを、今更廃止するというのか?


< 190 / 406 >

この作品をシェア

pagetop