BirthControl―女達の戦い―
「なんだ……これは!

どこでこんなものを!」


それは明らかに偽造されたIDカードだった。


落ちていたなんて、この場を逃れるための嘘に違いない。


もしかしたら……と一つの可能性を考える。


父親に自分を探るように言われたんじゃないのか?


それならこの偽造IDカードも、麻生から手に入れたものだと納得できる。


(父娘揃って俺を馬鹿にしやがって!)


高志はすっかりそう思い込むと、麻生への怒りが娘へと向いた。


あいつの娘だと思うと、無性に傷つけたい衝動にかられる。


怯えた態度がそれを増長させた。


「ちょっとこい!」


高志は遥香の腕を乱暴に掴むと、自分の部屋まで引っ張って行こうとした。


遥香は抵抗して暴れたが、そんなことは関係ない。


高志は掴んだ手とは反対の手で遥香の頬を力一杯叩いた。


「……っ!」


遥香は小さく悲鳴をあげると、これ以上抵抗しても無駄だと思ったのか、ぐったりとして高志に引きずられるままになる。


そんな遥香を見て、高志は気持ちが高揚するのを感じた。


こんな気持ちは初めてだった。


自分の意のままになるということは、こんなにも気分のいいものなのか……と。


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