BirthControl―女達の戦い―

ガックリと項垂れながら自分の席に戻ると、興味津々といった顔で周りが皆、こちらをチラチラと盗み見ている。


きっと周りはみんな知っていたんだろう。


洋一がリストラにあうということを……


さっきの視線にようやく合点がいって、洋一はスッと席を立った。


このままここにいたって、クビになった人間に与えられる仕事などない。


フラフラと会社をあとにすると、洋一は礼子ママの店に向かう。


早く帰ってきてと言っていた百合子の言葉なんかまったく頭になかった。


ただ、誰かに慰めてもらいたい、話を聞いてもらいたい……


そんな気持ちで礼子の元へと急ぐ。






店に着いたのは、まだ午前中の10時を過ぎたばかりの早い時間だった。


当然、店は閉まっており、ひなびた木の扉を力一杯引っ張っても、びくともしなかった。


途方に暮れながら扉の前に立ち尽くしていると、店の裏口の方から誰かが出てくる気配がした。