BirthControl―女達の戦い―
それでも恐ろしいと思うのと同じくらい、自分が遥香のような女性たちの役に立てるということに喜びを感じる。


遥香は最後まで反対していたけれど……


でもいくら反対したところで、自分が一番手になることは変えられない事実なのだから、それならば犠牲になるのは自分で最後にしたかった。


遥香をそう説得して、小型カメラを預かった時の彼女の悲しみの色を宿した瞳を忘れないだろう。


だけど何が起こるのか、何が起きているのかを知るためには、B棟内部に入らなければならい。


入れるのは選ばれた人間だけなのだから……


遥香はその前に何とかしたかったようだけれど、一度警戒されてしまった彼女が動くのは自殺行為に値する。


何かあった時のために、小型カメラは予備のものも含めて3つ。


内部を撮影するため、失敗は許されないだけに少し多目に預かった。


内部が映し出されたと同時に外部の仲間がその映像を国民に向けて発信するという。


チャンスは事情を知る自分の一度きり。


いつ青柳に連れていかれるのか、時間も場所も細かく遥香には伝えている。


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