BirthControl―女達の戦い―
悲鳴をあげて突き飛ばしてもいいくらい、洋一の行動はおかしなものだった。


気がつけば、いつの間にか洋一は礼子ママに抱きついていたのだから……


彼女は初めこそ身を固くしたけれど、泣いている洋一に気づいて優しく背中を擦ってくれた。


どのくらいそうしていただろうか?


散々泣いて、少しすっきりとした洋一は、ハッと我に返った。


急に恥ずかしくなり、彼女の肩を掴み引き離す。


「すっ、すみませんでした!!」


深々と頭を下げ、自分のしてしまった行動を侘びる。


ただの客とママという関係なだけなのに、抱きついて泣いてしまうなんて、行き過ぎた行為だ。


「謝らなくてもいいのよ?

何かあったんでしょ?

店はまだやってないから、少しうちに上がってお茶でも飲んでって?」


けれどママは気にすることなく、俺を家にあげようとしてくれていた。


優しく微笑みながらそう言うと、裏口に向かってどんどん歩き出す。


洋一は戸惑った。


このまま上がり込んでしまってもいいんだろうかと……


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