BirthControl―女達の戦い―
「では後ほどまた」
久枝が笑顔でそう言い終わるか終わらないかくらいで蓋がシュンと音を立てて閉まった。
透明な蓋からはまだ久枝の顔がはっきりと見える。
ほんの一瞬……
ほんとに一瞬だけ、ボタンを押すのを躊躇した。
久枝の言葉……
久枝の視線……
何千何万回と行ってきたこの一連の作業に初めて躊躇いを感じた。
自分はこれから人殺しをするんだと、改めて認識させられた瞬間だった。
けれど、やめるわけにはいかない。
この施設の責任者である以上、これは必要悪なんだと自分を納得させる。
どっちにしろ、辞めたところで自分は殺されるのだから、迷う必要などないのだと。
久枝の顔を眺めながら、今度はためらうことなくボタンを押した。
プシューという音と共に、カプセルの中が見えなくなる。
真っ白になったその中身を眺めながら、高志はもう罪の意識を感じることはなかった。
いつもの作業を終え、今度は自分の部屋の横にある管理室に向かわねばならない。
久枝の眠るカプセルをシューターの中に移動させると、高志は部屋を後にした。
久枝が笑顔でそう言い終わるか終わらないかくらいで蓋がシュンと音を立てて閉まった。
透明な蓋からはまだ久枝の顔がはっきりと見える。
ほんの一瞬……
ほんとに一瞬だけ、ボタンを押すのを躊躇した。
久枝の言葉……
久枝の視線……
何千何万回と行ってきたこの一連の作業に初めて躊躇いを感じた。
自分はこれから人殺しをするんだと、改めて認識させられた瞬間だった。
けれど、やめるわけにはいかない。
この施設の責任者である以上、これは必要悪なんだと自分を納得させる。
どっちにしろ、辞めたところで自分は殺されるのだから、迷う必要などないのだと。
久枝の顔を眺めながら、今度はためらうことなくボタンを押した。
プシューという音と共に、カプセルの中が見えなくなる。
真っ白になったその中身を眺めながら、高志はもう罪の意識を感じることはなかった。
いつもの作業を終え、今度は自分の部屋の横にある管理室に向かわねばならない。
久枝の眠るカプセルをシューターの中に移動させると、高志は部屋を後にした。