BirthControl―女達の戦い―
今日は久枝の他に、あと3人控えている。


その前に管理室で今日の分の電力を補わなければならない。


一階から二階への階段を昇り、自分の部屋に寄って隣のB棟に続く扉のカードキーを取りに行く。


ふと部屋の中に違和感を覚えて足を止めた。


(……なんだろう?)


一通り部屋の中を見渡すがそれが何なのかがわからない。


高志は急に怖くなった。


得体の知れない恐怖に体が震える。


自分の体を抱き締めながら、高志は少しずつ冷静さを取り戻していった。


仕方がない。


仕方がないんだ。


(俺にはこれしか生きる術がないんだから……)


何かが動き出そうとしているのかもしれない。


これまで何事もなくこれたこと自体がラッキーだったのかもしれない。


政府の犬として何も疑問を持たずに人を殺し、それがこの国のためなんだと高志はずっと思っていた。


自分の仕事に誇りさえ感じていたあの頃が懐かしい。


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