BirthControl―女達の戦い―
あの礼子を前にして、洋一は自分を押さえる自信がなかった。


けれど洋一を信頼して部屋に誘ってくれた礼子を裏切るような真似もしたくなかった。


頭の中で葛藤していると、裏口の扉からヒョイと顔を出して、礼子が人差し指で早く来いと手招いている。


洋一は覚悟を決めて、礼子の部屋へと乗り込んだ。


裏口から入ると、店に続く廊下と、部屋に上がる引き戸の扉が並んでいた。


部屋の扉をガラッと開けると、一段高くなったところに6畳程の部屋がある。


その奥にはキッチンと風呂場とトイレがあるだけの殺風景な部屋だった。


狭いけれど綺麗に整頓されており、なぜかふくろうの小物があちこちに飾られている。


意外と可愛い面もあることを発見して洋一は嬉しくなった。


雲の上の存在だった礼子が、なんだか少しだけ自分に近い存在になったような気がしたから……


キッチンで飲み物を用意してくれている背中を見ながら、洋一はドキドキしていた。


百合子以外の女性と二人きりになるなんて初めてのことだったからだ。


しかも礼子は、美人でスタイルもよく、客にも人気が高い。


そんな礼子を一人占めにしている錯覚に陥って、洋一は内心、とても興奮していた。


< 23 / 406 >

この作品をシェア

pagetop