BirthControl―女達の戦い―

まだ残暑の残る9月の中頃、丸山の往診日に合わせて梨央と要はOldHomeの近くで待機していた。


丸山は梨央たちとの約束を守り、きちんと遥香に話をしてくれていた。


無線から響く懐かしい遥香の声。


「梨央さん、要さん！

聞こえますか？

遥香です！

いつか……

いつかこんな日が来るって思ってました

やっと……

二人の役に立てる日が来たんですね？」


誰かに聞かれないように抑えたつもりの声も、興奮には勝てずにトーンが上がる。


「遥香？もうちょっと抑えて抑えて

ったく、相変わらずだな？お前は」


要が慌てたようにそう言うと、遥香はしまったというように声を潜めた。


「要さんも元気そうで良かったです

丸山先生からだいたいのことは聞きました

それで私は何をすれば？」


察しのいい遥香はもう何を求められているのか理解しているようだったが、敢えてそう質問をしてくる。


こういう律儀なところが遥香のいいところでもあるけれど……