BirthControl―女達の戦い―
そんな洋一の気持ちに気付いたんだろうか?


アイスコーヒーの入ったグラスを洋一の前に置きながら、礼子はクスッと笑った。


なんだか全てを見透かされているような気がして、洋一は礼子からいったん目を逸らす。


それからもう一度、遠慮がちに彼女の顔を見ると、化粧をしていないせいか、いつもより幼く見えた。


洋一と2歳も離れているようにはとても見えない。


それなのに、時々放つ大人の色香……


そのギャップに洋一はクラクラしそうだった。


「で?どうしたの?

大人の男の人があれだけ泣くってことは、そうとう辛いことがあったんでしょ?

私で良ければ聞くよ?」


そう聞かれて、洋一は自分がどんな状況に立たされているのかを、思い出した。


心配して家にまで上げてくれた礼子の気持ちを無下にしたくなくて、仕方なくポツポツと話し始める。


今日リストラにあったこと……


妻は子作りのために、排卵日には毎月、セックスを強要してくること……

あと4ヶ月の間に子供が出来ないと離婚しなくてはいけないこと……


実家はギリギリで生活しているため自分が世話になるわけにはいかないこと……


どうしたらいいのかわからなくなって、気づいたら礼子ママの店の前にいたこと……


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