BirthControl―女達の戦い―
青柳の部屋から聞こえる電話の相手との会話。
無線に注意深く耳を傾ける。
こちらの音は向こうには伝わらないとはいえ、何となく息を潜めながら梨央と二人身を寄せあっていた。
〈……そうですか!
ようやく法案が可決されるんですね?
ありがとうございます!
それさえ通していただければ、こちらは私で何とかいたします
麻生先生ならやってくれると信じておりました
それでいつから施行されることに?
はい、ええ、ほんとですか!?
来年の春頃かと諦めていたんですが、そうですか!
今年の12月からなんですね?
重ね重ねありがとうございました
はい、それではまたご報告させていただきます……〉
「12月……」
「ずいぶん早かったわね」
思ったよりも早く久枝の命のカウントダウンは始まりそうだった。
それは梨央も感じたらしい。
「遥香に早く知らせるべきなんだろうが、気が重いな……」
この間のやりとりからしても、遥香が久枝を助けるために、何か一人で考えていることは明白だった。
どう伝えるべきかを考えながら、結局は伝えることは一つしかないことを思い知る。