BirthControl―女達の戦い―
それから二ヶ月後――
青柳の様子から久枝の移送は、今日の午前中行われるらしいとわかった。
一週間前には遥香にもそれを知らせている。
遥香は思ったよりも素直にそれを受け入れ、知らせてくれてありがとうと一言だけ呟いた。
丸山は久枝のためならと、危険を顧みずに二つ返事で引き受けてくれている。
出来るなら、丸山の出番を待たずに解決したいものだけれど、そうはいかないことをここにいる誰もが知っていた。
三人で中継車の中で待機しながら、青柳が動くのを今か今かと首を長くして待つ。
外はもうすっかり白くなり、あたり一面銀世界だった。
エアコンを付けていても、中々暖まらないところをみると、外の気温は相当低いに違いない。
OldHomeの情報を得て動き出した頃は、少し動くと汗が滴るほど暑かったというのに……
季節は移り変わっても、あの中で行われていることは変わらない。
外界と遮断されたあの施設で、遥香はたくさんの高齢者を見送ったんだろう。
殺されている事を知らなかったとはいえ、80歳を過ぎるといなくなる住人に心を傷めていたことに変わりはない。